「ぁ、翼くん、今度」
あたしの言葉を遮るように、翼くんは言った。
「金里、俺走ってくるわ」
「え、いいけど……。外を?」
「うん」
「いってらしゃい」
翼くんは、タオルと水筒をもって、体育館を出ていってしまった。
今……あたし、避けられ、た?
「矢野先輩?」
恥ずかしい。
カァァァッと、顔が熱くなるのが自分でもわかる。
「……矢野先輩、あの」
「若葉ちゃん、あたしも戻るねっ」
「うん、ばいばーい」
自惚れてた。
仲良くなれたって。
少しは、近づけたんじゃないかって。
でも、自惚れだったんだ。
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