「……金里、委員長のこと知ってんの?」

「知ってるっていうか……。ほら、前に話したでしょ? あたしのお父さんが画家でコンクール開いてるって。そのコンクールの絵の整理とかやらされてて、その中でもあたしの好きな絵が毎年あったの」

「それを描いてるのが……委員長ってわけか」

「そっ! でも、去年は応募してなかったよね?」

「ぁ、うん……いろいろ、あって」

「お父さんも、矢野さんの絵、気に入ってるみたいだからさ、また応募してよっ!」

「……うん」

でも……もう、前みたいな絵は描けない。

あたしは、自分の右手首をギュッと握った。


「い」

「練習始めんぞー」

ん??

日向くんの声と、春部くんの声が重なってしまい、よく聞き取れなかったけど……。

あたしを、呼ぼうとした??