「絵でお金を稼いで生きていくのがどれだけ大変か、あたしもわかってる。
利き手の手首をいためた人が、そんなことできっこないことも。


でもっ、夢は諦めたくないっ」




『今の絵で、夢を目指せばいーじゃん』




こんなあたしの、背中を押してくれた人がいる。

諦めなくていいって、言ってくれた人がいる。


「あたしは、自分の絵をもっと広げたい……っ」


好きだって言ってくれてる人に、もっと見せてあげたい。


「……舞、ちょっと待ってなさい」

お父さんはそう言って、立ち上がり、1つのA4サイズの茶色い封筒をもって来た。