だけど、あたしのいきたいN女子芸術大学は、学費はあまりかからないけど、絵の具や道具の方のお金がかかる。
「……舞、まだ決まってなかったんだな」
「うん……。翼くんは、決めてるの?」
「んーまぁ、バスケ強いとこ、かな。使わせてくれるかわかんねぇけどっ」
「でも……いいな」
自分の夢のために、行きたい大学に行けるなんて。
不安があるのに、行こうとしてるその姿が、すごい羨ましい。
翼くんは、あたしの隣に座る。
「……行きたい大学、あるんだろ?」
「……でも、そこは」
「あるんだろ?」
「……うん」
「俺は、舞の絵が見たい」
「え……?」
「この絵、舞は全然ダメだって思ってるかもしんないけど、俺は素人だしあんま言える立場じゃないけど……
でも、俺はこの絵が好きだって、すげぇって思う」
翼くんの言葉に、心がスッとなっていくのがわかる。
「他にも、舞の絵、好きってやつ、たくさんいる。だから、俺はその絵をもっと知らせてやりたい。ってか、教えてやろーぜっ!」
そして、スッとなった心と一緒に、あたしの背中を、風が押す。