「……舞、ごめん。ボールとって」

「ぁ、う、うん」

あたしは翼くんにボールを渡す。

あ……。

「悟史、今なにやってる?」

さっきの翼くんとは違って、真っすぐで真剣な目。

「ふっ、スイッチ入んのおせーっつーの」

悟史くんはニッとイタズラっぽく笑って言う。

そして、あたしの耳元で「サンキュ」と小さく囁いて、美術室を2人で出て行ってしまった。





そのときの翼くんの笑顔は、すごくキラキラしてて。


あぁ、やっぱり若葉ちゃんには


敵わないなって、思ってしまった。