「……悟史……?」

「お前は知らねーだろ。あいつの部屋にテーピングの本とDVDがある。それを毎日読んで、見てること。スポーツドリンクの粉なんか数えきれねーほどあるんだ。それを、毎日作って飲んでんだよ。


なぁ、夢を追っかけないあいつが今、

俺たちのために動いてんだ。



それなのに、たかが捻挫で目ぇ逸らしてんな……ッ!!!」


悟史くんの言葉に、若葉ちゃんが言った言葉を思い出した。


『翼みたいにNBAプレーヤーなんて大きな夢をもってるわけじゃない。
悟史みたいに自分の世界を広げようとしてるわけでもない』


若葉ちゃん……やっぱり、あたしを羨ましいなんて言わないで。

だって、

若葉ちゃんは、誰かの夢をこんなにも支えてる。

自分の夢で精一杯なあたしとは、全然違う。

他の誰かの夢を、支えることもできるんだから。