翌日、翼くんの足は二週間は絶対安静と医者に言われた。
放課後、翼くんは美術室で、ボールを人差し指の上でまわしている。
「翼くん、部活……いいの?」
「んー。行っても意味ねぇしっ」
「……翼くん」
「……なっさけねーよなぁ。予選まであと5日なのに、捻挫なんてするとかさ。
……こういうとき、神様ってやつを恨みたくなる」
そう言う翼くんは下を向いていて、口元だけ笑っていて。
「ウィンターカップ予選であんなパスミスばっかでさ、新人戦は絶対そんなことしないって決めてたんだよ。それなのにさ、捻挫って……ざけんなよ、俺」
ボールが床に転がる。
翼くんは、ぽつりと呟くように言った。
「こんな時だけ、誰かに縋りたくなる」