「舞、ごめんねっ! この2人が遅くてさー」

「ちっげーよっ!! 金里が着物着付けんの遅かったんだよっ!!」

悟史くんが声を荒げてそう言う。

そんな2人を見て、あたしは小さく吹き出した。

「あれ? みんなじゃないの?」

「ああ。他のみんなは実家の方行っちゃっててさー。まぁ、あたし等は毎年三人で行ってるから」

「まっ、幼なじみで腐れ縁っつーか」

悟史くんが笑い飛ばすように言えば、自然とみんなが笑う。

「とりあえず、お参りすっかー」

翼くんがそう言って、4人でお参りの列に並ぶ。

「小さい頃、みんなどんな感じだったの?」

「んーなんだろ、とにかく遊んでた」

「そーそー、毎日服汚れてさーっ。翼とか、一回うんこと土が混ざったのが服に着いてたりしててさっ」

「うっせっ! お前だって、壁に落書きしてじいちゃんに狩られてたじゃんっ!」


三人の話に、あたしはずっと笑ってた。

知りたかったんだ。翼くんが、どんな風に若葉ちゃんたちと過ごして来たのか。


知らない翼くんを、知りたかった。