最寄り駅まで送ってもらって、あたしは「今日はありがと」と言った。

「……舞」

「?」

「誕生日おめでとう」

「? それ、さっき……え?」

翼くんは、あたしの手に小さな花柄の袋を置いた。

「これ、は……?」

「俺からの誕生日プレゼント」

「えっ?!」

「気に入るかは、わかんねぇけど……」


あたしは、丁寧に袋を開ける。

すると、袋の中には、ウサギのストラップが入っていた。


「かわいー……」

「よかった、気に入ったみたいで」

「……うん、ありがとうっ!」

笑顔でそう言うと、翼くんはグイッとあたしの手首を掴んで引っ張った。

そして、そっと耳元で囁いた。



「俺、舞の笑顔好きだよ」



いつもより、ずっと低く、優しい声で。