「えーでもでも、夕方はあたしの家でクリパするんだよ?」

「ぱ、パーティー?! あ、あたしお金もってないし、お菓子も……」

そんなの聞いてないよ?!

「いいのいいの♪ さっ、行こー!」

い、いいのかな……?

オロオロしていると、後ろから「舞」とあたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。

……好きな人の。


「手、貸して」

「?」

あたしは、ゆっくりと手を差し出す。

すると、翼くんはあたしの手をギュッと握った。

「ぇっ?」

思わず顔がカァァッと熱くなる。

「つめてー……。わり、結構待った?」

「う、ううんっ。大丈夫だよっ!」

「これ、もっとけ」

翼くんはあたしの手にホッカイロを乗せた。

「俺が使ってたやつだけど、今ちょうどピークだからっ」

そう優しく笑って、翼くんは体育館の方へと歩き出した。

あたしは、ギュッともらったホッカイロを握る。


……これ、宝物にしよう。


そんな小さなことを考えて。