若葉ちゃんは、ゆっくりと立ち上がった。
「……前に進もうとしてる、そんな舞いが、
あたしは、羨ましい」
『でも、あたしは、舞が羨ましい』
初めてあたしがバスケ部のみんなと屋上で食べた日に聞いた言葉。
そのときと同じいつもより少し低い声で、切なそうに、そう言った。
「じゃあ、あたし行くね」
「う、うん……」
「これで気まずくて話さないとかやめてよっ?」
「……う、うんっ」
「んじゃ、ばいばーいっ!」
若葉ちゃんはいつもの笑顔でそう言って、美術室を出て行った。
そして、あたしは、その若葉ちゃんの笑顔がすごく、
切なかった。