「知ってるよ……わかってる。何年も、みてきたんだから。

何年も好きだったから、わかるんだよ。






翼が、あたしのことを好きじゃないことぐらい」





切なそうに笑って、若葉ちゃんはそう言った。


「……羨ましいよ。絵を描く才能があって、可能性がある、そんな舞が」

「若葉ちゃんにだって、可能性は」

「あっても、それを信じて進むほどの勇気、あたしには、ないんだっ。
翼みたいにNBAプレーヤーなんて大きな夢をもってるわけじゃない。
悟史みたいに自分の世界を広げようとしてるわけでもない。

……舞みたいに、夢を諦めたくなくて絵を描き続けたわけでもないの。


あたしは、逃げたんだ。陸上に。怪我をして、バスケが一瞬で怖くなったよ。あたしもさ、目指してた。バスケット選手を、目指してたんだよ。でも、才能もない、身長も低い……無理に、決まってんじゃんって思ったら、陸上部なんかに入部してた」