10月が過ぎて、11月に入った。
放課後、あたしはいつも通り美術室で、いつもの席に座る。
今日も美術部はお休み。
コンクール……来週までだ。
金里コンクール。
去年は、出さなかった。
でも……今年は絶対に入賞するんだ。
そう思って、筆をもった瞬間、美術室のドアが開いた。
「ぁ、いた」
「……若葉、ちゃん?」
「へへー。ぁ、やっぱり描いてた! コンクールの絵?」
「う、うんっ」
若葉ちゃんと2人きりで話すの……すごい、久しぶりかも。
普通、普通で……いいの、かな。
「……舞って、嘘下手でしょ」
え??
若葉ちゃんはクスッと笑って、あたしの前に座った。

