「つ、翼くん、半分だすよっ」
「んな、いいって。俺がつき合わせちゃってるしっ」
「ち、ちがっ」
あたしが……翼くんと、一緒にいたいだけ。
なんて、言えない。
「ぷっ。いいってっ。な?」
翼くんはあたしの頭を優しく撫でて、ニッと笑ってみせる。
その笑顔に、あたしは思わず頷いてしまった。
「んじゃ、俺着替えてくるな。……舞、俺の着る? 制服じゃ動きにくいだろ」
「い、いいよっ! 平気っ!」
「ぁ、いや……ってか、着てくんね? その、動くし……スカートだと、さ」
耳まで真っ赤にしてる翼くん。
翼くんは鞄の中から上下一式をあたしの手の上に乗せた。
「女子更衣室あっちだから、着替えたら体育館な」
そう恥ずかしそうに言って、翼くんは女子更衣室とは反対方向にある男子更衣室へと行ってしまった。
あたしも、女子更衣室で翼くんに借りた服に着替える。

