「舞、どうしたっ?!」
「い、たいぃ……っ」
痛みで、あたしはそれしか答えられなかった。
右足首を抑えてるからか、「右足か」と言って翼くんはあたしに背中を向ける。
「保健室に運ぶから、ちょっと我慢な」
そんな言葉が聞こえたとき、あたしの体は一瞬浮いて、そして翼くんの背中へと寄りかかってる状況に。
……へっ??
「つ、つばさくん……っ?!」
「うしっ」
翼くんは、あたしを背中に背負って、保健室へと全力疾走。
周りから「ヒュ〜」なんてからかいの声、ヒソヒソと話す声が飛び交う。
……そして、若葉ちゃんとすれ違ったとき、
若葉ちゃんは切なそうに、下を向いていて。
でも、あたしは、周りの声なんか……不思議と、気にしなかった。
それよりも、
この大きくて温かい背中に、ドキドキした。