君と見上げた空【完】

「母さーん、タオルちょうだい」


私達は今、空の家に着いたところ。
男の子の家に入るのは初めてだから、
ちょっと緊張する。



「はーい……ってあらあらどうしたの?」


空のお母さんが私に気付くと、驚いた
ような声で言った。私、びしょ濡れだから
ね。


「この人は俺の友達。蝶って言うんだ。
 外を傘差さずに歩いてたから連れてきた」


友達……そんなこと久しぶりに言われた。



「あらそうなの。蝶ちゃん、さあ上がって」



「はい。ありがとうございます」



空のお母さん、優しそうだな。
私はそう思いながら靴を脱いで家に入った。