愛するということ

「今日も、拓馬は帰ってこれないのかなぁ」


友里は、持ってきた雑誌やCDをかたずける手を休めずに話を続けた。


「拓馬も瞬ちゃんも急に家からいなくなっちゃって、なんか自分の家じゃないみたいだよ」

「友里、今日も一人で大丈夫か」




友里は、パッ明るい笑顔をこっちに向けて「もう、子供じゃないんだから大丈夫」といいながら、部屋を出て行った。







外は、燃えるように暑いのに、この部屋の温度はいつでも一定で――
病院なんだから当たり前なんだけど、
なんとなく、フワフワした夢の中のコトのような感覚になる。





「瞬・・・早く目を覚ませよ。お前に誤解されたままじゃ、気になって眠れない」

そう、俺はあの日、瞬に東野とのコトを誤解させたままなんだ。



俺は、今にも目覚めそうな瞬の寝顔を見ながら、そっと頭を撫でた。

撫でた指先から、さっき看護師が洗髪をしてくれたからだろう、いつもとは違うシャンプーの匂いがして、チクリと胸が痛む。




俺の知らない瞬の香り・・・

チクリと痛むそのわけが分からず、それでも、段々と騒がしくなり始める鼓動に、自分がなにか病気にでもなったようだ