愛するということ

「この中に、母さんがいる。」



ポツリと言って、その扉を開けた――。




手術室の中は、ヒンヤリとしていて、薬品のにおいがした。

正面に手術台があるけど、母さんの姿はそこにはなかった。



「そっちだよ。」

拓馬が指差した方を見ると、手術室の脇にあるストレッチャーの上に、布をかけられた人が寝かせられていた。




ゆっくりと、近づく。

なんだか、自分の足なのに、自分の足じゃないような感覚で、思うように前へ進めない。




ストレッチャーの前まで行くと、拓馬が、ひとつ深呼吸をしてから、体に被せられていた布をとった。




「・・・!」


「事故で、ずいぶん怪我したらしい。顔も、体もキズだらけで、包帯で・・・巻かれて・・・る・・・」