愛するということ

「瞬・・・入るぞ」

一応、声をかけてはみたが、中からは返答がなかった。



ひんやりとした俺の部屋から、瞬の匂いがする。



「・・・」

ベットにちょこんと座っている瞬は、やっぱり泣いているわけではなかったけど、何もかもを遮断しているように、一点を見つめていた。


「瞬・・・寝てなかったの」

「・・・あ、隼人・・・うん。あれ、ずいぶんボーっとしちゃったみたい。」



壁の時計を見て、驚いたようだ。


「そっか」


さっきまで震えていた瞬は、もう震えてはいなかった。

「・・・」



慰めたらいいのか、それとも、気がまぎれるように全く別の話をした方がいいのか・・・
瞬にかける言葉が見つからない・・・。





自分の身の置き場も分からないこの部屋は、すっかり俺の部屋ではないみたいだ。




――駄目だ。



こんなとき、どんな言葉が必要なのかなんて、俺の薄い人生経験からは、導き出す術もない。