にっこりと斎藤さんに笑かければ彼女は一歩退く
…逃げなくても良いのに
「…嬢ちゃん、ええ加減にせえよ?」
怒気を含んだ声で私の胸ぐらを掴む志貴先生
「いきなり表れて“未来人で蓮斗の奥さん”?ふざけるのも大概にしいや。そんなこと“はい、そうですか”なんて言えるほど俺は…俺らは出来た人間やないで」
吐き捨てるように言う彼
「大体な、そないことまで言うて蓮斗の気を引こうとしても無理やで?」
彼は呆れるような、軽蔑するような目で私を見る
「…言いたいことはそれだけ?」
「は?」
「だーかーら、言いたいことはそれだけなのかって聞いてるんだよ」
私がそう聞き返すと胸ぐらを掴む力が緩む
緩んだ瞬間、私は彼の腕を払い彼から離れる
「てかさ、言ったよね?私が言ったことは全て真実だって。…勝手に適当なことばかり言わないでくれない?」
「なんやねん、勝手なことって。ほんまムカつくわ、自分」
そう言って手を振り上げる彼
殴られる、せめてパーで叩いてほしいな。なんて呑気なことを考えていると誰かが志貴先生の腕を掴んだ
「やめなよ、志貴。」
「なんや陽太はこの嬢ちゃんを庇うん?」
意外にも止めにはいったのはよーくんだった

