「あら、随分とゆっくりだったのね?
早くご飯食べて行かないと遅刻するわよ?」



下の階にいた母親らしき人物が私を見て顔をしかめながら言う。



「…ああ、うん」



煮え切らない返事をしながら、食卓の椅子に座ると母親は準備よく食事を目の前に出していく。



一人暮らしの長かった私には彼女が用意してくれた食事はゴクリと喉を鳴らしてしまうほど美味しそうだった。



まだ湯気のたつ白いご飯にお味噌汁、焼きたてなのかジジジと小さく音を立てる鮭。



ああ…すごく美味しそう。


「頂きます!」



勢いよく、箸をとりパクパクとご飯を頬張る私を見て母親は目を丸くした。