居候させて頂きます

「見たことある!」

そう言って女性は嬉しそうに笑った 

突然話し掛けられてびっくりし、女性を見つめるとニコニコしながら見つめ返してくる
俺の事知ってるのか?

目の前にいる女性を思い出そうと疲れた脳をフル回転させ、記憶を辿ってみる


・・・うん。
俺、見たことない! 


「どこかでお会いしましたか?」

そう問い掛けた俺に、女性は哀しげな顔でうつむいた


「わからないんです・・・」



「わからないって?」



「記憶・・・ないんです」


記憶がない?
女性の放った言葉がなかなか理解できずにいると、電車内にアナウンスが響き渡った。 

『次は~、柏原町~』



「あっ、俺降りなくちゃ」

そう呟くと、女性はまたもや哀しげな顔でうつむいた


記憶ないとまで聞いて、1人で電車に残すのも気が引けるな・・・ 
話を聞いてたら何か思い出すかもしれないし、わかるかもしれない


「お腹・・空いてないです?俺、まだご飯食べてなくてお腹ペコペコで。よかったらファミレスかどこかで一緒に食べません?
あっ、でも急にそんな事言われても困りますよね?よかったらでいいんですけど・・」

そう言って女性を見つめると、嬉しそうに笑って答えた 


「はい!ぜひ!」