あれから、一週間。八月も終わりに近づいた、ある昼下がり。ニュース番組では、ある事件を報道していた。
「浅香学院大学に通う二人の生徒が、行方不明になって一週間が過ぎようとしています。二人は同じ部活動に参加しており、活動中に消息が付かなくなったものと思われます。警察はこの件について……。」
‐プツッ
テレビの電源を切る。ふ、と溜め息を吐いた僕に、鈴が声を掛ける。
「君が気に病む必要はない。彼らは自らの責任で扉を開いたんだ。己の貪欲な娯楽に溺れただけさ。」
それに、と彼女は付け足す。

「異世界を知った者らに、今後何が起ころうとも、責任は取らない。そう決めたのは、他でもない。

安立クン、君じゃないか。」

その通りだ。確かに、彼らの事は心配だ。異世界と時空の間に挟まれたりしてないか、よもや死んでたりしたら、と。だが、たとえ彼らが死んでいたとしても、

それは結局、他人事だ。

心配はするが、気には病まない。人なんてそんなものだ、と僕は思う。だから僕は、鈴と出会い、仕事を手伝う際に一つ質問をした。

ここに訪れた人たちは、見殺しにするつもりでいいか、と。

あの時、鈴は確かに頷いた。そして、こう言った。
「いいだろう。実に人間味のある狂い方だ。」