また目が覚めたとき、疾風があたしの頭を撫でて優しい笑顔で見つめていた。
あたしは、恥ずかしくて、
[起きてたなら起こしてよっ]
と、疾風の胸に顔を埋めて、赤くなった顔を隠した。
疾風は、ただ笑ってあたしをぎゅっと抱き締めた。
そして、頭にそっとキスを落とした。
[お前家どこ?送ってく。]
と言われ、あたしたちは帰る準備をした。
携帯は昨日かろうじてもってきてたけど、財布をコテージに忘れてたことをおもいだして、携帯を見ると、葉瑠から財布あずかってるから、というメールがきていた。
だから、そのまま疾風に送ってもらうことにした。
あたしは、あの事件以来、家族崩壊して、大学生になると同時に家を出た。この海から車で30分くらいのところで一人暮らしをしている。
疾風の家は、またそこから車で10分くらいのとこらしくて、意外と近所なことにあたしはびっくりした。
