「・・・先輩、久城先輩、久城先輩!」


「・・・」


「こんなところで寝ているとからだを壊しますよ。せめて床で寝てください」


「こよみ・・・」


 いけない・・・また俺は屋上で眠ってしまっていたらしい。


 俺―久城明久は、目の前で仁王立ちしている少女に心底ウザイスマイルで


「起こしてくれてありがとう、こよみ」


「触らないでください」


 ぺいっと手を叩かれてしまう。


 だが少し頬が赤くなっているこよみを見ると、すごく和む。


「・・・どんな夢をみたんですか」


「え」


「なんだかうなされているようでしたよ。こんなところで寝るから、というのもあるでしょうが」

「・・・」

 まぁ、屋上で眠っていたらそりゃあ悪夢もみるだろう。


 こよみはふんぞり返って、心配なんて言葉微塵も知らないような態度で言い放っていた。