私は、一目惚れなんて信じない。 何にも知らないひとに惚れるなんてあり得ない。 そう、思ってたのに…… 梅雨のせいでじめじめした暑さの上に、どしゃぶりの雨のなか、ひとりの男が傘もささずに交差点の真ん中に立ち止まっていた。 濡れた前髪から落ちる雨の雫が、男の顔を光ってるようにみせて、何故か自分の顔が赤くなるのがわかった。