雑巾は木に引っかかることなく地面に落ちた。
遼は落ちた雑巾を拾い、菜緒に向けて見せた。
俺はそれを離れたところから傍観していたら

「ごめん!!取りに行くから持ってて。」

という菜緒の声が頭上から聞こえてきた。
俺は持っていたボールを放り投げると背を向けて歩き出した。

「連!!」

遼は俺のところまで走ってきて、ほれっ、と雑巾を目の前に出した。
反射的に後ろに反り退く。

「教室に戻るなら、菜緒に渡してくれ。」

雑巾を俺に渡し、遼はさっさと行ってしまった。
俺は掌の中にある雑巾を見て、ため息を吐いた。




俺は靴を履き替え、自分の教室に戻ろうとしたとき菜緒が靴箱まで走ってきた。
俺は菜緒のところまで歩き、隣に立つと菜緒がゆっくりと顔を向けた。