朝、彩から電話があった。
委員会があるから先に行くという内容だった。

久しぶりに1人で登校するため、いつもより少しゆっくり支度をして玄関のドアを開けると、空は曖昧な色をしていた。
その空を見上げた後、今の自分を表しているような感じがしたので少し心がしなる。
私はその感情を抱えたまま自転車にまたがりペダルを漕ぎ出した。
冷たい風が私を吹きつけ、いっそうのことこの感情も一緒に飛ばしてほしかった。

連の家は私の家と学校のちょうど真ん中辺りにあるけど、足腰を鍛えるため連は毎日歩いて登校している。
私たちが付き合っていた頃、連はいつも私を家まで送ると、来た道を歩いて帰っていた。
その優しさがすきだった。
連は優しかった。
誰に対しても。
私が連に惹かれていった理由の1つでもあった。

だから、連の優しさはすきだった。


すきだったのに…いつからだろう。

その優しさにイライラし始めていった。