「菜緒、帰ろう。」

先輩たちと話していると連がいつの間にか制服姿で話しかけてきた。
すると、忍先輩が連に向かって

「よっ、彼氏!!カッコイイねぇ～!!」

と言い、先輩たちは連をからかい出した。
連が先輩たちにアタフタしている姿を見るのが新鮮で笑っていると、連は先輩たちに挨拶して、さっさと歩き出してしまった。
私はヤバイと思い、先輩たちに挨拶をすると急いで連の後を追った。

日が暮れて薄気味悪い自転車置き場の前で不機嫌そうに連は待っていた。

「自転車の鍵は？」

私の前に手を出して聞いてきたので、黙って自転車の鍵を渡すと連は自転車を引っ張り出してきて、自転車に乗った。

「あんまり、しゃべんないでくれる??」

私に背を向けたまま連は小さく呟いた。
連が私に何が言いたいのかがわかり、少し嬉しかった。

「乗れよ。」

恥ずかしそうに言う連の後ろに座り

『ごめん。』

と言うと静かに連は自転車を走らせた。

私たちは2人乗りをして、少し遠回りをしながら帰った。