放課後、連の部活が終わるまで屋上にいると見回りの先生が来て、鍵を閉めるからと言って追い出された。
仕方なく、運動場で連がサッカーをしている姿を見ていた。

「吉村。」

振り返ると、ニコニコした中村先生の顔があった。

「ちょっと来い。」

手招きする中村先生の後を黙ってついていくと、倉庫の中から空気入れを出してきて私に渡した。

「連を待っているんだろう？」

『はぁ…。』

私が曖昧な返事を返すと

「終わるまで暇だろ??そこのサッカーボールに空気入れてくれ。」

『へ??』

中村先生は私の顔を見ずに、淡々と空気入れの説明をしていく。

「んじゃ、終わったら言ってくれな。」

説明が終わるとサッカー部員のもとへ走っていった。

その後ろ姿を黙って見送ると、私はため息を吐き出しボールに空気を入れ始めた。
30分ぐらいかけて籠の中のボールに空気を入れ終わると中村先生が近づいてきて

「今度はこっち。」

と言って歩き出した。

中村先生の後についていくと今度は名簿みたいな用紙とペンを渡された。

「今から50mと100mのタイムを計るから記録していってくれ。」

そう言うとサッカー部員を集合させ、50mと100mのタイムを計ることを説明し出した。

「何してんの??」

連が不思議そうに私に聞いてきた。

『記録係。』

私が呟くとケラケラと笑って

「頑張れ！」

と言い、スタート地点まで走っていった。
その後を見つめていると、連が部員の人たちにからかわれているのがわかった。

記録し終わった後も中村先生の仕事を手伝わされ、いつの間にか部活が終わり、1，2年生たちは片づけをしていた。