先程よりも、足音が近くで聞こえる。 足音は明確な意志を持って、女に近づいてくる。 じわりじわりと迫る足音に耐えきれず、女は走り出した。 きっと、その人も帰り道が同じなだけだ。早足になったのは、急いでいたからで、自分をつけているのではない。 そうして自分に言い聞かせ、不気味な予感を振り払おうとしたが、一方では嫌な想像が、頭の中を回っていた。 もしもあれが、ストーカーだとしたら―― もしも、捕まってしまったら―― その恐怖が、さらに女の足を速めさせる。