「じゃあ、今日はお疲れ様」


寮の入り口で先輩はそう言って、自分の寮の方向へと向き直った。


「海斗先輩！」


私は彼の後姿に声をかける。

不思議そうに振り返る先輩。


「さっきはありがとうございました！」


私はそう言って頭を下げた。

私がお礼を言ったのに、その言葉以上に素敵な笑顔を返されて、その笑顔に見とれてしまう。


遠ざかる後姿を見送ってから、寮に戻った。


「なーに、にやにやしてんの？」


後ろから急に声をかけられて、私は慌てた。


「なんだ、千尋か」


「なんだとは何よぉ」