「紗奈ちゃん大丈夫?!」
「あ、はい」
私は曖昧にうなづいた。
やっと状況が飲み込めて、先輩の体の温度を認識したとたん、かぁっと顔が熱くなる。
細そうに思っていた腕は力強くて、男の人であることを強く意識してしまう。
少し茶色いさらさらの髪、息がかかりそうな距離……心臓の音が聞かれてしまいそうで、下を向いた。
「……えっと……」
「あ、ごめん」
私を抱える腕の力が緩んで、少しふらふらした。
私が赤くなっているのを見て、先輩も少し照れた笑顔を見せる。
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