「先生、このコーヒー、あの時の――」
確かめようと言いかけた言葉を、先生は唇に人差し指を当てる動作でさえぎった。
私は言葉の先をコーヒーと一緒に飲み込む。
先生と私だけの秘密ができたみたいで、みんなに見えないように静かに微笑んだ。
「じゃあ、詳しくは来週の月曜のミーティングで話すから今日は解散!」
先生が元気よく言って、大島先輩と澤田くんは帰る準備を始める。
「あ、海斗、こいつをちゃんと寮の入り口まで送ってやってくれるか?」
「もちろんですよ」
先生と伊集院先輩の会話が私に向けられたものだと気付いて私は慌てた。
だって、いくら同じ敷地内の寮生だと言っても、先輩がいるSクラスの男子寮は私の住む一般クラスの女子寮とは一番離れている。

