「ごめんね。呼び出しちゃって」


「いえ、どうしたんですか?」


冷静を装っているけど、廊下にいても色んなところから視線が刺さって逃げ出したいような気分だ。


「僕に用事ができちゃって、今日のミーティングはナシになったんだ……ってメールしようにも連絡先聞き忘れちゃって、澤田くんにはメールしたんだけど、彼は来るの遅いでしょ?」


申し訳なさそうに先輩は微笑んで、「ごめんね」と付け加える。


「そうだったんですか。わざわざありがとうございます」


本当はすっごく残念に思っていることを顔に出さないために、私は精一杯笑って先輩に言った。


「ついでに携帯教えてくれる?」


「はい、もちろん!」