「しばらくして梨紗が『ケーキ買い忘れた』って言って、幸にいが車の鍵を手にした。梨紗は俺にお前を預けて、『すぐ戻るから』って言った。 その日はすごく寒い日で、夕方から雪が降り出してて……」 先生は泣いていた。 私はその涙の流れて行く様子をじっと見つめる。 「なんであの日、俺は止めなかったんだろうって。俺なんかのために、大事な娘を預けてさ。ケーキなんていらないのに……」 私は指で先生の涙をすくった。 それは無意識でしたことだった。