「ある時、2人が事故に巻き込まれたっていう電話が樹からかかってきた。 あいつの震えた声、今でも覚えてる。いつも冷静で、感情を押し殺していた樹が動揺していたから。 俺が病院に着いた頃にはもう遅くて、梨紗と幸太は冷たくなっていた……樹は紗奈ちゃんの手を握ったまま、歯を食いしばっていた。 それから紗奈ちゃんはおばあちゃんと暮らしていたんでしょ?」 「はい、祖母も亡くなってしまいましたけど」 「そうだったのか」 窓から見える景色にはすっかり夜の帳が下りていた。