やっとわかった。

長く暗い迷路の中、出口を探そうともしていなかったけど。


そんな間にも、俺にはたくさんの人が手を差し伸べてくれていたこと。

自分勝手で、幼い気持ちを。


やっとわかったんだ。



白み始めた空が山の稜線を映しだして、透明な空気が世界を満たしていく。

こんなにも鮮やかな色があったこと、ずっと忘れてた。


紗奈が俺にもう一度くれた色なんだ。



もう迷ったりしない。

俺は紗奈が好きだ。