『……』 『派手な失恋だな、樹』 失恋。 その言葉に反応して先生の顔を見る。 なんで嬉しそうなんだよ、こいつ。 『失恋なんかじゃねーよ』 『いや、失恋だ。よかったなぁ、お前はこれで前に進めるんだから』 ああ、先生には全部お見通しなんだ。 俺が叶わない恋をしてたこと。 そこから抜け出すきっかけを失ってたこと。 それに蓋をしようとしてたけど、限界が近づいていたこと。 『梨紗さ、今保健室にいるから』 『え?』 『気を張ってたんだろうな。お前がいなくなったすぐあとに倒れたんだ』