触れてはいけない、と頭の中に警報が鳴ってる。

戻れなくなる。


その無意識に誘う幼い表情から無理やり目をそらして、俺は軽くデコピンしてみた。


「いっ……た」


「ほら、早く戻りな」


後戻りできるうちに。


「はぁい」


そう言いながらソファを立つ彼女の後ろ姿を見送る。


ドアが閉まって、沈黙が訪れるまで、俺は呼吸すらまともにできなかった。

やっと深呼吸したら、彼女の髪の香りがして頭がクラクラした。