でも、それは涙なんかじゃなくて、いつの間にか降り始めた雪だった。




俺はこの日、初めての失恋を知った。

だけど、本当の意味が理解できず、まだ心のどこかで期待したまま。

舞い散る雪の破片を見つめて、涙すら流せないまま。



夜中に降り続いた雪は世界を真っ白に覆い尽くしたけど、梨紗がインターホンを鳴らすことはなく、その事実が冬の朝の寒さより深く、胸を刺した。



中3のある寒い日、俺は少しだけ恋の意味がわかった気がした。



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