「ここに座るとな、なんか落ち着くんだよ。変な言い方かもしれないけど、俺的なパワースポットなわけ」
丸く切り取られた空から降り注ぐ月の光で、スポットライトが当ったように地面も丸く切り取られている。
パワースポットか。なんかわかる気がする。
「俺、ここでよく泣いてたよ」
「え?先生が?」
「若い頃の話だけどな」
先生は私の方を見ずに照れくさそうに笑った。
「失恋したときと、永遠の失恋をしたとき」
「永遠?」
先生は私の質問には答えずに、今度は私のことをじっと見つめる。
深く、悲しい目で。
今日何度目かの沈黙。
私は先生の言葉の先を待った。

