ちょっと待って。 今、声色と語尾に違和感が……。 ちらり。 あたしの隣に平然たる顔つきで椅子に腰を掛けるこの男。 ……出たよ。 この男と出会って十年の腐れ縁。 中島の二の次に忌み嫌っている男! 『……勝手に会話に入らないでくれるかな?洸太クン?』 「何?その虫酸が走るようなキモい笑みは」 『む、 虫酸って……。ほんと、あんたの言うことが、いちいち癇(かん)に障るわ!』 「あっそう」 洸太は顔色を動かさない。