【完】俺だけを愛して溺れろ。


 * * *


『寒っ、』



吹き付けた風が冷たくて、巻いていたマフラーに口まで埋(うず)め、コートのポケットに手を突っ込む。



この寒さの厳しい中、繁華街ではクリスマスムードで大変賑わっていた。



皆、心浮かれているんだろうねぇー。



残念ながら今のあたしは、心浮かれてもいないし心穏やかでもない。



だから、煌びやかなイルミネーションを見ても、素直に“綺麗だ”と思えないのは仕方ない。



昨日、今日と、色々なことがありすぎた。



だから、放課後は自分の気持ちを整理する為に、いつもより早く帰宅しようと思っていたのに。