【完】俺だけを愛して溺れろ。




『ちょっ、はっ!?』



冷静さを失っているあたしを見て、中島はにんまりとする。



「凜ちゃん。キスする時は、目を閉じるんですよ?普通は」


『な――っ!タイミング、おかしいでしょ!』


「んー?」


『甘い雰囲気も何もない――ってか、あたしのキスを返せ!!』


「返品不可能でーす」



中島は得意満面な口調だった。



それが、非常に腹立たしい。



はぁ、いつもそうだ。



こいつの専売特許は不意打ち。



今回で、何度目だろうか。



慣れとは末恐ろしい。