「あった、あった。凜の折り畳み傘」 中島はあたしの言葉を無視して、傘を開く。 そして、 「懐かしいな。相合い傘」 愉快げに口元を緩めた中島に、突然手を引かれた。 『ちょっ、』 あたしの肩が中島に触れる。 この距離があたしにとって不愉快――と、思う感情が一分もなかった。 ただ、 「恋人同士に見えるかな?」 苦しさが募る。 そう、胸の奥が苦しい。