「…時が来るのを待つしかない、か…」

憲蔵は椅子に深く座って目を閉じた。





「…ん…」

気付くと憲蔵の携帯が鳴っていた。

「…もしもし…」

「おい、憲蔵…まさか本当に寝ていたのか…?」

その声はユリスだった。

「…あぁ…どうやらその様だ…すまん…」

「…まぁ、いいさ。こちらの準備は終わった。」

「そうか。今から出る。」

「あぁ。急げよ。」

それで電話は切れた。
「…まさか本当に寝てしまうとは…休暇が必要なのは俺の方のようだな…」

憲蔵は皮肉な笑いを浮かべながら部屋を出た。




「…遅ぇぞ、憲蔵!」

憲蔵が着いた時にはもう大元帥とユリスとグレンが舞台袖に集まっていた。
「どうかしたのかい、憲蔵?君が遅れるなんて…」

「こいつは自分の机で寝ていたんですよ。」
「おい、ユリス…」

「そうか…この所大掛かりな事件が多かったからね。今回の作戦が終わったら、休暇を取れるようにしておくよ。」

「…申し訳ありません…」

「君は良く働いてくれているよ。このくらいは当然だろう。さ、皆が待ってる。そろそろ行こうか。」

四人は揃って壇上に上がった。そこには大勢の兵が集まっていた。
「今回の作戦は、非常に大掛かりな物になる。この作戦に、世界の未来がかかっていると言っても過言では無い。諸君の働きに期待している。そして今回の作戦が無事終わったあかつきには、各師団、順番に一週間の休暇を与えよう。」

大元帥がそう言った途端、兵達が雄叫びを上げた。

「今この時より、大元帥の名の下に、作戦の開始を宣言する!総員、出撃せよ!」

その号令で兵達が一気に動き出した。

「第一師団は第三格納庫に集合しろ!第八師団の輸送艦格納庫に行け!」

「第八師団は第三格納庫で艦隊の最終チェックだ!それが済み次第、第一師団員の収容を開始する!」