外では雷が鳴り響いている。一際明るい稲妻が部屋を照らし出した。部屋には一人で外を眺める大元帥の姿があった。

「…ついに、アトランティスが起動した…やったのは、やはりクロウリーかな…少々十賢の力を侮っていたようだ…始末はつけるさ…私自らの手でね…」

すると背後にどこからとも無く人影が現われた。人影は直接頭に響く声で話し掛けた。

「…こちらでも見解は同じだ…皆、アレイスター・クロウリーが今回の発端だと推測している。だが、その裏には…」

「あぁ…確かに今回の発端はクロウリーなのだろうね…だけど、その裏には間違い無く奴が…アイザック・シリウスがいる…」

「…所詮、奴もその程度の人材だったということだな…十賢ともあろう者が、こうも簡単に操られるとは…」

「やはり、奴の聖霊の力なんだろうが…数年前よりも格段に能力が向上している…」

「こちらでも奴の所在は掴めない。恐らく次元の狭間にいるのだという見解が大多数を占めている。」

「…それも、奴の聖霊の能力だったね…時空間操作と因果歪曲…ある程度予測されていたとはいえ、やはり驚異的だね…」

「…奴には、もしかすると我々が直接手を下す事態になりかねない…その時は、お前がこちらから門を開け。でなければ、我々は手を出せないからな。」

「あぁ。分かっているよ。天ノ御中主神…全てはこの世界を守るために必要なことだからね…」

「そのためにはどんな犠牲を払ってでも、か…つくづくお前は道化だな…」

「…それが、私の使命だからね。」

「…そうだったな…こちらで何か動きがあれば伝えよう。」

「あぁ。頼むよ。」

そして人影は姿を消した。

「…ついに明日か…この作戦が吉と出るか凶と出るか…全ては神の御心のままに、か…」
外は、いまだに激しい雷が鳴り響いていた。