火の輪は火柱となって足元から空に吹き上げた。

「これは…!?」

火柱が消えると中から巨大な火の体の龍が現われた。龍は拾蔵を囲む様に体を渦巻いている。

「…烈火属性の高位魔法の一つ、炎天招来・焔魔燈龍…炎皇が使うと、ここまで違いが出るのか…!?」

「往け!炎龍!」

炎の龍は咆哮を発しながら三人に向かって突っ込んだ。

「僕が防ぎます!京介さんと蓮さんは拾蔵様を!」

勇翔が前に出て剣をかざした。残りの剣も同時に使った。炎の龍は勇翔の剣に阻まれて攻撃出来ない。

「よし、今だ!」

「はい!」

二人は同時に拾蔵に向かって駆け出した。

「はぁっ!」

「おぉっ!」

二人はそれぞれの武器で拾蔵に切り掛かった。しかし二人の攻撃は見えない壁に防がれた。

「な…!?」

「これは…!?」

「はぁ…この程度か…はっ!」

拾蔵が気合いをかけると二人が壁に弾かれて吹き飛んだ。

「ぐっ…!?」

「う…く…っ!?」

二人とも立つのがやっとのようだ。

「うわっ!?」

その声に二人が振り返ると勇翔が炎の龍に吹き飛ばされていた。剣は全てバラバラに砕け散っていた。

「…これではまともな戦いは無理じゃな。まぁ、良かろう。一月儂が鍛えてやろうかのぉ。」

拾蔵は朱雀を納めた。
「…その前に朝食じゃな。三人とも、先に行っておるぞ。」

拾蔵は一人さっさと行ってしまった。

「…手も足も出ませんでしたね…」

「あぁ…完敗だ…」

「流石は炎皇…ですね。」

「…飯にするか…」

三人はボロボロの体を引きずって朝食を食べに行った。朝食の時に彰奈と晶が目を丸くしたのは言うまでも無かった。