「…来い、朱雀!」

拾蔵がそう声を発すると拾蔵の背後に丸い陣が現われた。陣からは火の粉が舞い、中から巨大な火の鳥が現われた。

「これが、お祖父さまの聖霊…朱雀…」

朱雀は濃密な霊気を放っている。火の粉の一つ一つからも霊気が感じられる。

「…全力で来なさい。」
「…これを試してみるか…」

京介は胸元から何かを取り出した。

「京介さん、それ…」

それは、緑昂石だった。

「あの時の緑昂石ですか?」

「あぁ。せっかくの機会だ。使いこなして見せる。」

京介は緑昂石に霊力を流しこんだ。緑昂石は京介の霊力を吸収し、薄緑色の光を放った。光が凝縮して一本の槍になった。その槍は決して無駄がない美しい装飾がされているが、溢れる霊気はかなりの濃さだ。

「これが、魔槍グングニル…」

グングニルは京介の身長よりも少し長い。京介はグングニルを構えた。

「…グングニルを手に入れたか…他の二人はいいのかな?」

そう言われて蓮は首から下げた勾玉を握って霊力を流しこんだ。勾玉は光を放ち、光は圧縮されて一振りの剣になった。それは一本の刃に両脇から三本ずつ枝刃が生えた剣だ。

「霊剣、天叢雲剣(アメノムラクモノツルギ)アマテラスの最強の剣…なるほど。」

「…天盤・壱式、雷王剣!」

勇翔がそう声を発すると、空から一際明るい稲妻が落ちた。勇翔は稲妻を手に受けて剣の形に固めた。残りの稲妻は剣になって勇翔の回りに浮遊して固定された。

「ほぅ…紫電属性最強の攻撃力を誇る大魔法…習得出来る者がいたとはのぉ…中々面白い。」

拾蔵は顔の前で右手で拳を作った。

「炎天招来・焔魔燈龍 (えんまとうりゅう)…!」

すると拾蔵の足元に火の輪が出現し、拾蔵を囲んだ。